お薬にまつわる疑問、誤解を現役の薬剤師さんからアドバイス
※過去に連載していた記事を再掲載しています。
もうワクチン接種が終了したちびっこも多いと思いますが、これから流行するインフルエンザについてお話ししたいと思います。
『インフルエンザ』と『かぜ』は原因となるウイルスがちがいます。『かぜ』はのどや鼻に症状が出るのに対し、『インフルエンザ』は38~40度の高熱が急に出るのが特徴です。倦怠感、筋肉や関節の痛みなどの全身症状も強くそれが通常5日程続きます。
予防としては、ワクチン接種と日常生活では栄養や休養をとる事、適度な温度と湿度を保つ事、うがい手洗いをする事などがあげられます。
もしかかってしまっても、以前は症状をとるお薬だけだったのですが、現在ではインフルエンザウィルス自体に効果のあるお薬が開発されて使用される様になりました。これはほんの数年前からの事で私のように薬剤師になって20年弱を過ごしてきた者にとっては本当に画期的な事です。(年がばれますが…)以前は、かかってしまうと4~5日間は高熱にうなされて合併症を心配しながら過ごしていたものですが、現在ではそのお薬を使うことで熱が下がるまでの期間も大幅に短縮された気がしますし、重症度も軽減されたように思われます。現在のところ、インフルエンザウィルスのA型に効果のある1種(粉と錠剤あり)A・B型の両方に効果のある飲み薬1種(カプセルとドライシロップあり)吸入薬1種の計3種がインフルエンザの治療薬として使用されています。ですがこれらのお薬は、発症後48時間以内での使用開始が必要だとされていますのでご注意ください。近年、ちびっこのインフルエンザ脳症(原因は不明)も問題になっていますので、これからの流行シーズンに高熱が出た場合には、自宅に残っているお薬を使うのではなく(特に大人用にもらった残っている解熱剤は使わず)受診する事をおすすめいたします。
下の表は目安にはなりますが、重い風邪と軽いインフルエンザを見分ける事は難しいので医師に相談されてください。
『インフルエンザ』と『かぜ』の症状の違い | ||
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インフルエンザ | 風 邪 | |
初発症状 | 発熱、頭痛、悪寒 | 鼻咽頭の乾燥感およびくしゃみ |
主な症状 | 発熱、筋痛、関節痛 | 鼻汁、鼻閉 |
悪寒 | 高度 | 通常強くない |
熱および熱型(期間) | 38~40度(3~4日間) | 38度前後まで |
全身痛、筋肉痛、関節痛 | 高度 | 軽い |
倦怠感 | 高度 | 軽い |
鼻汁、鼻閉 | 後期より著しい | 初期より著しい |